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   秋の日の枯葉のその美しさの意味を求めて





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          小礼手与志






          それでも
          花は咲き
          鳥はさえずり
          人は歌い踊るのです







     あなたには、まだ秘密の部屋があるのでしょうか
     わたしは今まで、あなたのすべてを見てきたつもりです
     もしあるなら、隠さずにわたしに教えてください
     おそらくこれが最後の出会いとなるでしょうから














     小さな小さな女の子が夕暮れに
     その母の姿を求めて呼ぶとき
     森のキツネやフクロウだけでなく
     木や草や、そしてその薄暗闇も
     その声を聞いているのです







     風がわたしに冷たいのは
     それは風のせいではないのです
     他のより冷たい風に冷たくされたからなのです

     あなたがわたしに冷たいのは
     それはあなたのせいではないのです
     他の誰かにあなたが冷たくされたからなのです







     やつらが私を壊しにやってくる
     でも、大丈夫です
     安心してください
     わたしが全力であなたを守りますから

     たとえ、心が壊れても、体は動きますから






   ヤマカガシ

ついにお前は現れた。わたしの庭に。
以前、玄関先に抜け殻を残したのは、それは予告だったのか。

だが、わたしはもうお前を、女のようには恐れない。
お前の緩やかで深い知恵を知り始めたから。

この数ヶ月、お前の仲間たちは幾たびもわたしの前にその姿を現した。

夏の暑い午後、公園を散策していると、お前の仲間は芝生の上に横たわっていた。
わたしが歩み寄っても、身動きもせず、まるで寝そべっているかのように。

またあるとき、道路のひび割れが突然動き出したかのと思って、
驚いて見たら、それはお前の仲間が道路を横切ろうとしているところだった。

またあるとき、森の小道を歩いていると、かつい見たこともないような速さで、
わたしの目の前を悠然と通り過ぎていった。
まるでここは自分の縄張りであるかのように。

またあるときは、広いアスファルトの道路の端で、捨てられた縄のような丸くなり、
腹を見せながらその無残な姿をさらけ出しているときもあった。
きっと車に引かれたのに違いない。

だが、お前らは、そうして地面を這いずりまわっているにもかかわらず、
決して泥まみれになることはなく、いつも、つややかな光沢を放っていた。
それがまるでしぶとい生命力の証であるかのように。

またあるとき、わたしが自転車で走っているとき、 お前の仲間がいきなりわたしの目の前に現れた。
それはあまりにも突然すぎて、もう間に合わなかった。
だが、車輪がそいつを轢こうとした瞬間、
そいつはとっさに身を翻して車輪をかわした。

そして、あるとき、わたしはついにお前の真実を知った。
どこにもお前たちが住めそうな場所がない住宅街を歩いているとき、
今まさに道を横切ろうとしているお前たちの仲間と遭遇した。
わたしがそのまま歩き続ければ、そいつに近づき過ぎることは間違いなかった。
そこでわたしは、そいつが道を横切るのを待つことにした。
だが、そいつも、わたしの気配を察してか、少しも動かなくなった。
何かを思案しているかのように、微動だにせず。 どのくらいの時間が経ったろうか。
やがて、そいつはゆっくりと頭を起こし体をしなやかにくねらせて引き返し始めた。
そのときわたしはお前たちの真実を、お前たちの伝説的な知恵の証拠を感じ取ったのだ。


ところで、お前はいったい何しにわたしの庭に来た。
お前は紛れもなく侵入者なのだぞ。
それにしてもずいぶん悠然としているな。
まさか、自分たちのほうが何千万年も生きているのだから、
わたしたち人間の方が侵入者だと言うつもりではないだろうな。

それではいったい何しにきたのだ。
まさか、昔虐殺された仲間の復讐に来たのではないだろうな。

お前たちは隠された牙に毒を隠し持っているそうじゃないか。
なぜ今まで黙っていた。
マムシたちは堂々と宣言をしているぞ。
もっとも毒を持っていようがいまいが、
子供たちに追い立てられるのは仕方がないことだが。
どう見たって気味が悪いからな。
子供のとき、遊びのようにわたしはお前の仲間を追い立てた。
それがあまりにも執拗だったので、
そいつは怒って頭をマムシのように三角にした。
あれがお前たちの隠された正体だったのだな。
そのとき気づいて居ればお前たちの扱いも変わっただろうが。
それにしても、なぜお前たちはそれを隠し続けようとしているのだ。
なにか深い知恵に裏打ちされているからなのか。

お前いったい何しにわたしの庭に来た。
殺された仲間の復讐の為ではないのなら、
わたしに何か知恵を授けようとしてきたのか。
だが、そのような手足のない体で這いずりまわっているだけで、
いったいどんな知恵を持ち合わせているというのだ。
たしか知恵は自由な肉体に宿るはずのものだから。
もう伝説のヘビのように、あれ以来はるかに進化を遂げて、
利巧になったとされる人間に授けるような知恵など持っていないだろう。

鳥たちは天高く舞い上がり、はるか彼方まで見ることができるその眼で、
この広い世界を観察するように眺めながら、楽しそうに自由に飛びまわっている。
あるものはお前たちを付け狙いながら。
それなのにお前たちはカエルを追っかけて這いずりまわっているだけではないか。
獣たちでさえ、お前たちよりも早く移動し自由に飛び跳ねている。
少なくともお前たちよりは世界を広く見ていて知恵もあるはずだ。
それなのにお前たちは相変わらず地面を這いずりまわっているだけで、
ときには、その獣たちさえからも驚かれるほどだ。
お前たちの神出鬼没さと、そして、
その行動のあまりのもどかしさと得体の知れなさのために。
人間は美しい肉体に宿る知恵を駆使して、便利で豊かな物質生活を築き、楽しそうに暮らしている。
それなのにお前たちは手足のない肉体をさらしてはいずりまわっているだけではないか。
だから多くの人間たちはお前たちのような薄気味悪いものは、
この世から消え去ってもかまわないとも思っている
女や子供を怖がらせるだけで、人間の快適な生活には少しも役立っていないからと。
鳥たちは、音を聞き分け、ときには美しく歌い、人間たちを慰める。
獣たちでさえ、そのしなやかで俊敏で美しい姿をさらして人間を和ませる。
だが、お前たちは人間たちに忌み嫌われ続けているだけではないか。
いったいどんな喜びや楽しみがお前たちにあるというのだ。
お前たちの持っている眼や耳は、不完全なものであまり役立たなく、
その割れた舌先で微かな匂いと風の気配を感じ取り、
あとはうろこをまとった全身で地形の変化を感じながら、
地面を這いずりまわっているだけだそうじゃないか。
そんな肉体で何を感じとれるというのだ。地面のの振動くらいだろう。
そんなものからどんな知恵が生まれてくるというのか。
お前たちは何千万年も姿を変えずに生きてきた。
おそらくこれから先もその姿を変えることはないだろう。
変わることををお前たちに期待するほど、人間はお前たちに関心がないだけでなく、
きっとそんな必要もお前たちに訪れることはないはずだから。
ところで、手足がないというのは不便ではないのか。
それとも、それは究極の形で、何か良いことでもあるというのか。
では、その良いこととは何か。それはしょせん地面の振動、
まあ、少し大げさに言えば地球の振動を感じ取るぐらいじゃないのか。
それぐらいでいったい何か判るというのだ。

いったい何しにわたしの庭に来たのだ。
虐殺された仲間の復讐のためでないというのなら、
やはりわたしに何か知恵を授けようとするためか。

道路を横切ろうとして、車に轢かれて無残な死体をさらけ出すお前らに、
そのような知恵があるとは到底思えないのだが。
もっとも人間にもそんな愚か者は居るけどな。

どうしてお前はそんなに悠然としている。
お前は紛れもなく不法侵入者だ。
もし見つかれば、間違いなく追い立てられ、
下手をすれば、お前を恐れるものから殺されかねないのだぞ。
だが、わたしはもうお前を恐れない、お前の不思議な知恵を感じ取り始めているから、
以前のように動揺して、お前を追い払ったりはしないから安心しろ。

お前はもうすでにわたしの存在を感じているはずだ。
でも、先ほどから少しも動こうとはしない。
なにか深い思索に入っているかのように。
だから、なぜか、わたしも動けない。
それは、お前の行動を邪魔したくないという気持ちが芽生え始めているから。

それにしても、いくら究極の形とはいえ、
お前たちの肉体はあまりにも無防備すぎないか。
手足のない体というのは本当は不都合ではないのか。
その想像力を途絶えさせるような不気味さに、
人間は誰でも恐れをなして逃げるとでも思っているのか。
でも、よく見ると、お前はずいぶん穏やかな表情をしているではないか。
それは次のように言いたげにも見える。
「俺たちはこれで十分なのだ。手足がなくても少しも不便ではない、
それなりに良いことはある。ずっと形を変えずに生き続けた来たのだから。」と。

わたしは少し動いた。
絶対にその気配を感じ取っているはずなのに、
それでも、お前は動こうとはしない。
それはわたしなど恐れるに足りないということなのか。
それとも今こうして生きていることだけで満足であるということなのか。

では、お前たちにとっての良いことはなんだろうか、
その手足のない体で地球の振動を感じていようが、
所詮カエルを追っかけて這いずりまわっているだけではないのか。
鳥たちのように空を飛ぶ爽快さも歌のようにさえずる喜びも、
獣たちのように大地を走り飛び跳ねる楽しさも、
人間のように自分たちの力で地球を変えて、
より多くの欲望を満たして世界を知る感動もないではないか。

でも、お前は、相変わらず風に吹かれる土筆のような顔をして平然としている。
それは次のように言いたげにも見える。
「鳥は、いつかは翼が折れて、地面に叩きつけられるときが来るだろう。
それは高く上がっていればいるほど激しいものになり、そのときの苦痛も大きいだろう。
獣も、いつかは足腰が弱り、もはや走ることも歩くこともできなくなるだろう。
そのときの落胆振りは速く走っていればいたほど大きいものになるだろう。
人間は、知恵を駆使し豊かで喜びに満ちた生活をしているが、
いつかはそれを失うときが来るだろう。
そのときの押し寄せる悲しみや絶望感というものは、
それまで幸せであればあるほど満ち足りていればいるほど大きいものになるだろう。
それに比べたら俺たちにはそんな不安や恐れとは無縁だ。
それに、俺たちは地上のどんなところでも這いずりまわっているから、
どんな片隅で起こっている、どんな小さなことでも判っている。
たとえば、歴史に記述されなかったような人間の怒りや嘆きや、
そして、悲しみや屈辱などを知っている。」と。

お前たちは、地球の振動を感じながら、
究極の形で、これ上変わりようがない形で、この地球に何千万年も行き続けてきた。
その振動を原始からの地球の鼓動のように感じながら。
おそらく、これからもその形で行き続けるだろう。たとえ人間が滅びても。
ということは、地球の振動はお前たちに、
それ以上何かに変わることを望まなかったということなのか。
それでは、お前たちの肉体は地球の知恵ということなのか。
もしかしてお前たちは、神からはおせっかいな奴として呪われているが、
大地からは、従順な信奉者として祝福されているのかもしれないな。

もうだいぶ時間が経った。
お前は相変わらず悠然としている。
かつては気味が悪いだけの存在だったが、でも今は違う。
ようやくお前は静かに静かに動き始めた。
そして、茂みへと消えていった。

なんにも起こらないなんにも変わらない静かな時間だけを残して。

いったいお前は何のためにわたしの庭に来たのだ。

どうせ人間のほうが先に滅びる。
それでもお前たちはその姿を変えることなく、
地上に優雅な曲線を描きながら生き続けるだろう。

傷つけられた地球の悲鳴のような響きではなく、その原始からの鼓動にような響きを感じながら。







星は笑わない
花は笑わない
鳥は笑わない

でも、幼な子は
星よりもひたむきに
花よりも豊かに
鳥よりも軽やかに
その無垢な笑みを浮かべる
まるで存在の重みから
抜け出すかのように

そして、不安も、憂いも
苦悩も、暗い雲も吹き飛ばす
その萌えるような笑顔で







     母たちの神話

 満開の桜の花の下で
 子供たちが戯れています
 とにかくわたしたちを
 いっぱい いっぱい
 愛してほしいのです
 そうしないと我が子を
 愛せるかどうか
 わたしたちは不安で
 不安でたまらないのです







季節の移り変わりはあまりにも速すぎるのです。
おとといは春、きのうは夏、そしてきょうは、もう秋。
だから、わたしは自転車であっちこっち走りまわるのです。
     その季節のスピードに追いつこうとして。
でも、どんなに走りまわっても、
どうしても追いつけない。
もし追いついたら、もし追いついたとしたら、
季節とともに歩み続けたあなたに
もしかしたら会えるかもしれないというのに。








季節の衣をまとうまもなく、時はまるで
記憶されることを拒むかのように、その銀河の翼を広げて
飛び去って行ってしまった。

だが、
季節の記憶は確実に、その金銀の生命の糸で
織り込まれている。

やがていつしか、
悔恨の森の奥深くの「自然の知恵」と呼ばれる洞窟に、
幾重にも折りたたまれ、人知れず横たわる、
その絢爛豪華な綾織物を恐る恐る
広げてみるとき、いとおしくも狂おしくも切なくも、
季節の記憶が数限りない思い出となって、
芳しい哀しみの花びらを舞い散らせながら
よみがえる。







暖かくなって眼が覚めると、
真っ赤な太陽が出ていた。いつものように。

空は見る見る青くなっていった。いつものように。

遠くから仲間の声が聞こえてきたので、
ヒバのこずえを飛び立った。いつものように。

まずは隣の楡のこずえに飛び移り、さらにそこから、
勇姿が見えるようにと、パァッと格好よく飛んで、
周りが見える高い赤い屋根のてっぺんにとまった。いつものように。

みんなの声が近くに聞こえてきた。
ずっと仲の良い仲間の声も。いつものように。

また干草の取り合いっこなどをして遊ぼうと思った。いつものように。

とてつもなく楽しいことだから。
さらにチュンチュンと思いっきり鳴いて、
人間の前を飛んだり横切ったりして、
威張り散らすカラスや利巧ぶるハトに、
どんなに人間と仲が良いかを見せ付けてやるんだ。いつものように。

そして勢いよく飛び立った。先程のように。

だが、人間が行きかう道路にまっさかさまに落ちてしまった。
しかもドサっと、腐った柿の実のようにみっともなく、
地面にたたきつけられてしまった。
いったい何が起こってしまったんだろう。
突然翼が開かなくなってしまった。
みんなの所に行こうとしただけなのに。
そして楽しく遊ぼうとしただけなのに。
いつものように。
だが思うように翼が動かない。
もうだめだ体が動かない。





















どうしてそんなに私を追い払おうとするのですか?
私がなにか悪いことでもしたというのですか?
私はただ止むにやまれずこうして卵を産み続けているだけです。
だが、どうしても私が邪魔だというのなら、私はどこかに行きます。
でも、その前にちょっとだけ私の話を聞いてください。
ほんの少し前のことですが、
それまではとても暗く、体も重かったかったのですが、
とつぜん周りが眩しくなると、
急に体がのびのびとしてきて、とても軽くなったので、私は羽ばたいて飛んだのです。
空高くどこまでもどこまでも。
そのうちにサワサワと風が吹いてきたので、私はそれに乗って、さらにどこまでもどこまでも、いつまでもいつまでも飛んでいたのです。
やがてどこからともなくものすごく良い匂いがしてきたので、私は吸い込まれるようにその上に舞い降りました。

それがこのキャベツ畑なのです。
そこで私はいたたまれなくなって、そして全身の力を振り絞って次から次へと卵を産み付けました。

判りました。
たぶんあなたにも言い分があるのでしょう。
でも、お願いがあります。
もう少しだけ、あと少しだけですからもう少し待ってください。
私にはそれだけで十分なのですから。
なぜなら、、、おそらく、、、たぶん、、、
いずれ夕暮れまでにはすべて判ると思いますから。

















































秋の日の小春な日和に
    枯葉のその美しさの意味を追い求めて

私はまた、
   この森に迷い込んでしまった。

薄日は光の粒子となって、
    涸れることのない涙のように降り注ぎ、

落ち葉は土に変えるために、
    早すぎる雪のように降り積もる

森はひと時の栄華を惜しみなく捨て去り
    新たな春を迎える準備をする

でも、原子に還ったはずのあなたの姿はここにはない
    ではいったいどこに、

やはり私は、
    待たなければならないのですか、

北斗の七つ星が、
     その昔の姿を懐かしむときまで







喜びの頂はまばゆく輝いているが、
悲しみの谷は目がくらむほどに暗く深い。








そんなにも、
 取り戻したいというのだな、
  だが、もう少し待ってくれ。









   どうやら私は褒められたがっているようだ
   いったい誰に














       意識の重みから存在の深みへ旅立つ








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光に満ちあふれて





ぬくもりを感じて





笑顔に包まれて





泣きながら笑いに満ちあふれて





遊びながら笑いに満ちあふれて





満たされて見守られて





満たされて見守られて





満たされて見守られて





満たされて見守られて





満たされて見守られて





満たされて見守られて





満たされて見守られて





あなたたちは誰





あなたたちは何者





家族ってなに            遠くから見守られて





わたしは誰             遠くから見守られて





わたしは何者            遠くから見守られて





人間ってなに            遠くから見守られて





遠くを見つめて なぜ どうして   遠くから見守られて





遠くを見つめて なぜ どうして   遠くから見守られて





遠くを見つめて なぜ どうして   遠くから見守られて





遠くを見つめて なぜ どうして   遠くから見守られて





遠くを見つめて なぜ どうして   遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





−−−−−−−−          遠くから見守られて





判らない              遠くから見守られて





判らない              遠くから見守られて





判らない              遠くから見守られて





判らない              遠くから見守られて





判らない              遠くから見守られて





判らない              遠くから見守られて





判らない              遠くから見守られて





判らない              遠くから見守られて





判らない              遠くから見守られて





判らない              遠くから見守られて





もう離れない もう逃げない だから、、、、 真実にかこまれて





わたしはどこへ 判らない          真実にかこまれて





わたしはどこへ 判らない          真実にかこまれて





わたしはどこへ 判らない          真実にかこまれて





わたしはどこへ 判らない          真実にかこまれて









真実にかこまれて、長い時間をかけてゆっくりと、ゆっくりと、
          そして静かに静かにわたしは狂っていく



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も初めの冷たい小雨の降る深夜。
人通りの少ない舗道で、奴が久しぶりに私に声をかけてきた。
ときおり黄色い歯を見せて笑う奴だ。
なんとXX地獄であえぎ苦しむ私を見かねて会いにやって来たそうだ。
奴は単刀直入に言った。

「そんなに死んだ母親に会いたいなら会わせてやろう。
ただし、条件がある。
お前が俺と誓約する次の五項目の約束を守ったら、お前を地獄から連れ出し天国の門まで連れて行ってやっても良いぞ。」

 わたしは喜んでその条件を飲む事にした。その誓約の内容とは









署名が終わると、奴は思い出したように言った。
「アッ、言い忘れたが、お前を母親にあわせるとは言ったが、俺に出来るのはお前をここから連れ出し天国の門まで連れて行けるだけだ。天国の門が開いてお前の母親が出てくるかどうかは、俺の力ではどうにもならない。判ってるな。そこから先はお前が考える事だ。」  私は笑みを浮かべて答えた。
「うん、判ってる。わたしは今このような案を考えている。最後に母と別れたとき、母が私に言った言葉がある。十二文字の言葉だが。その言葉を心の支えに私はその後を生きる事が出来た。もし私が天国の門にたどり着いたとき、誰かがその十二文字の言葉を言ってくれたなら、きっと天国の門が開かれるような気がするんだ。その時までじっと待ち続ける事にしたらどうだろう。そうすればいつかはきっと会えるさ。」
 すると奴は薄笑いを浮かべて言った。
「いま、ざっと考えたんだけど、その組み合わせのすべての言葉を言うだけでも、何億年、いや何十億年もかかるな。ふう、気が遠くなるな、早めに正解が出ればいいけど。」
 私は満たされた気持で黙っていた。
 そして最後に奴は少し悲しそうな表情で言った。
「ところで、お前はいったい、死んだ母親に会ってどうするつもりなんだ?」
 私は黙ってその場を離れた。



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ずっとずっと苦しかった。