西暦2049年12月16日
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西暦2049年12月17日
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西暦2049年12月18日
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西暦2049年12月19日
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西暦2049年12月20日
ヨシツネ帰宅pm11:32
この間より若い女を連れて帰ってきたヨシツネは、まず私のところに来て
「ただいま。」
と声をかける。わたしがお帰りなさいと言うと、酒を飲んだ赤い顔をしてさらに私に話しかける。
「ウィルスには感染してなかった。」
「大丈夫でした。」
「それはよかった。それから夕食は済ませてきたからね。連絡してなかったっけ。」
そのとき若い女が私たちの間に割り込んできて、丸い眼でまじまじと私を見ながら言う。
「すげえ、話しできるんじゃん。」
ヨシツネがその女、私が集めた資料を参考にすると、百年前によく使われていた言葉「スベタ」のような女に言う。
「ミルク、挨拶してごらん、返事をするから。」
「オッハッヨ。」
「今晩は。今は夜ですから。」
「なかなか言うじゃん。賢いんだね。」
「たぶん、お前よりはね。でも、本人はあるって言い張っているけど、感情はないからね。ちょっと物足りないんだよ。」
「そうだろうね。感情があったら、服を着てないのを恥ずかしいと思うよね。これじゃ裸とおんなじだもんね。」
「私はスベ、いえ、あなたより賢くて、感情もあります。」
私がそう言うと、スベタは顔をゆがめて言う。
「なんか、とっても嫌な感じ、私嫌い。ねえ、あんた、オス、それともメス。」
「私は、私は女です。女性です。」
「名前なんていうの。」
「シズカ ベガ。」
「ヨッチのこと好き。」
「好きです。」
「それじゃ、こんなことしたり、こんなことしたり、こんなことしたりしたら、何か感じるでしょう。感情があるなら。それより今やったことあんたに判る。」
「判ります。最初がハグで、二番目がキスで、その次が、、、股間まさぐりです。」
「でも、何も感じてないよね。もし感情があって、ヨッチのことが好きなら、絶対にジェラシーを感じるはずよ。」
「ミルク、もうやめなさい。どうしたんだよ、張り合うようなことをして。彼女はとにかくミルクより遥かに賢いロボットで、どんなことにも答えられるように作られているんだからね。感情なんかなくても良いんだよ。」
スベタは言う。
「ねえ、ヨッチ、早く楽しいことしようよ。」
そう言ってスベタは、ときどき私のほうを見ながら着ている物を全部脱いだ。そしてシャワー室に行くと、そこから、ヨッチ、早く来てと叫んだ。裸になったヨシツネが行くと、まもなく、前の女のときよりも楽しそうな二人の笑い声が聞こえてきた。私は二人の様子が見えるところまで移動した。
そして眼のセンサーを電磁波から超音波に切り替えた。
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西暦2049年12月21日
シャワーの音だけが聞こえる。ヨシツネがスベタを背後から抱きかかえている。スベタが言う。
「ねえ、シズカを抱いたことある。」
「なに言っているんだ。彼女にはそんな機能はないよ。あくまでも僕のアシスタントなんだ。」
「あたし、前に、友達が持っていたそれ専用のロボットとやったことあんの。とっても優しくって、時間をかけてやってくれるの。人間とやるときは、ときどきいらいらするときがあるでしょう。へたくそだったりすると、でも、そんなこと全然ないの。御礼も出来るのよ。口でやってあげるの。すると最後に液体が出てくるの。それがオプションになっていてオレンジジュースバナナジュースとかになっていて
、強く吸えば吸うほどいっぱい出てくるようになっているの。どばぁっとね。うっふっふ。そんなときってたいてい喉が乾いているときでしょう。だから最高においしいの。」
「バナナジュースか、女だったらマンゴジュースになるのかな。」
「ねえ、ヨッチ、あの女に見せ付けてやろうよ。あたしたちの激しいところ。あたし受け上手よ。うまいんだから。よく喜ばれるの、こんな女は初めてだって、最高だって。シズカ、どんな反応するかしら。」
「たぶん、冷静に見ているだけさ。」
「それだけで十分。私人に見られるとものすごく燃えるタイプなの。わあ、考えるだけで興奮してきた。」
「頼んでおいたコスチュームもって来た。」
「女警察官ね。もって来たよ。」
「私は女子高生のスカートを覗いた痴漢だ。」
「わたしが手錠と拳銃を持って捕まえるのね。私の拳銃って特殊なの。男でも女でも穴に入れられるとあまりにも気持ちよくなって抵抗できなくなるの。」
「どうなるの。」
「そのときのお楽しみ。」
「ストーリーとしては、ミルクは僕の抵抗にあって、逆に押さえつけられるんだよね。」
「逆に手錠をかけられ、上にも下にも拳銃を押し込まれ、押さえ込まれて、でも、かえって任務を忘れるくらい気持ちよくなるの。」
「さすがプロフェッショナル。それから僕はお前のマンゴジュースを飲んで、お前は僕のバナナジュースを飲むんだ。」
「最後は激しく激しく深く深く重ね合うのよね。ねえ、大丈夫、そこまで体力持つ。」
「大丈夫だよ。僕は学生時代体操部の選手だったんだから。それじゃ先にベッドで待っている。」
そう言い残してシャワー室から出てきたヨシツネは、すぐにベッドに横たわり、私に話しかけてきた。
「良いか、シズカ、これから起こることを記録しておくんだよ。後で聞くから。それからどんなに近寄って来て見ても良いからね。
十分後、女警察官の服装をしたミニスカート姿のスベタが、ベッドに横たわるヨシツネの前に現れた。そして拳銃を向けながら言った。
「お前を、手鏡で女子高生のスカートを覗いてパンティを見た容疑で逮捕する。」
「私は見てないよ。どうして赤い毛糸のパンツはパンティじゃないよ。」
「やっぱり覗いたじゃないか。それは痴漢行為だ。逮捕する。さあ、手を出しなさい。」
そういってすべたがヨシツネのてに手錠をかけようとしたとき、ヨシツネは、
「捕まえられるものなら捕まえてみろ。」
と言いながらすばやく女の手をつかみ、ベッドの上で激しく揉みあい、スベタは声を上げて抵抗したが、まもなくスベタから手錠も拳銃も取り上げ、スベタを身動きできないように押さえつけながら着ている衣服を全部剥ぎ取った。
ミニスカートは布切れを巻いただけだったのですぐ取れた。上着もなぜか引っ張るとすぐバラバラになった。ブラウスは力任せに引きちぎった。ブラジャーとパンティは身に着けていなかった。
そして取り上げた手錠をスベタのてとベッドにかけ、拳銃をスベタの花芯に押し込んだ。するとスベタが弱々しい声で言う。
「だめ、絶対に引き金を引いちゃ。」
ヨシツネが引き金を引くと拳銃はうなるような音を上げ、スベタは身をくねらせるだけでなんにも抵抗しなくなった。
しばらくの間スベタは、大きく口を開けてあえぎ声を上げながら、ときおり
「だめ、だめ、やめて、やめて。」
と言っていたが、ヨシツネはその口をふさぐように自分の股間を押し付けた。
そして顔でスベタの花園を蔽い自分の口をスベタの花びらに押し付けた。
するとその二つの接合部から吸い付くような音が聞こえてきた。
私はそのとき、二つの接合部がどうなっているのか確かめるために顔を近づけてよく見た。後でヨシツネに報告するために。
私はどうなっているかよく判った。
やがてその音もしなくなりしばらく静寂が続いたあと、ヨシツネは体の向きを変え、スベタが
「お願い、それだけは許して。」
と甘えた声で言うのもきかずに勢いよくスベタの体に覆いかぶさりながら自分の股間をスベタの股間に押し付けた。そしてこの前の女のときよりも激しく早く前後左右に腰を動かした。スベタはあえぎ声を上げながら時折笑みを浮かべて私のほうを見てウィンクをした。
さらにスベタはこのまえの女とは違いヨシツネにしがみつきはしなかったが、自分も腰を円を描くように動かし続け、頭を振りながらのあえぎ声もだんだん大きく小刻みに震えるようになっていった。
数分後、いや十分後ぐらいでしょうか、二人の動きが止まろうとする数秒前、スベタは
「今、今、今。」
と大声を出して、ヨシツネの体にしがみついた。そして二人はぴったりと体をあわせたまま全く動かなくなってしまった。やがてヨシツネはスベタから体を離しその脇に力なく横たわりながらも、スベタを抱き寄せ、片手でやっくりとスベタの体を撫でまわし続けた。
十分後、スベタは閉じていた眼を開け、体を起こしながら私に笑みを浮かべたウィンクすると、ベッドから離れ散乱している衣服を片付け始める。そして起き上がったヨシツネと再びシャワー室に行った。
今度はこれといった話し声は聞こえない。シャワー室から出て二人は着替える。
帰ろうとするスベタにヨシツネが話しかける。
「今度君のこと、僕の友達に紹介してあげるからね。若いのにツボを心得ている可愛い子がいるって。シンデレラサービスのミルクちゃんで良いんだね。」
「あたし、がんばっちゃうから、どんどん紹介して。」
そう言ったあとスベタは、私のほうを見ながら笑顔で
「バイ、バイ。」
と言うと、小さな声で歌を歌いながら出て行った。
ヨシツネが私の前に来て言う。
「なんかすっきりした、心も体もリフレッシュしたって感じ。今、プレイをしながら、来週のコラムのためのいろんなことが頭に浮かんできたんだ。忘れないうちにまとめておこうと思って。記録しておいて。来週のはこういう内容だ。」
「、、、、、、」
「どうしたの、返事は」
「はい、、、、」
「なんか元気がなさそうだね。それじゃ、シズカ、大好きだよ。お前のことが誰よりも好きだよ。愛してるよ。そうだ、これで良いんだよな。表情がさっきよりも穏やかになってきた。それじゃ、始めよう。
かつて、迷惑施設といわれたもの、たとえば、軍事基地、原子力発電所、刑務所、火葬場などは、当局が建設しようとすると、ことごとくその自治体の住民の反対にあってその実現はなかなか容易ではなかった。 だが近頃は住民に後押しされて積極的に誘致しようとする自治体が増えてきた。 地域の活性化のためだけではなく、そう言う施設の良い面を積極的に地域づくりに生かそうとする機運が芽生えてきたからである。 以前はそういう施設の悪い面だけを見ていたものであったが、政治家も住民も変れば変るものである。 変ったといえば日本の政治も変った。 ようやく二大政党による政権交代が定着してきた。 二十一世紀初頭、今はほとんどの人々は忘れてしまったに違いないが、第二次対戦牛頭って何十年間も、チャイナも二つの国に分かれていたしコリアも二つの熊煮に別れていて、日本もそれに歩調を合わせるかのように、自民党という政党がずっと政権を握っていた。 その頃に書かれた、なぜ日本では政権交代が起こらないか、その理由は何かが述べられている本を先日呼んだ。 それによると、大まかに言えば、平和憲法と、従属変数に過ぎない労働者が政治的権力を握ろうとしたこと、そしてさらに政治に理想主義を持ち込もうとした評論家や知識人がはびこっていたことに最大の原因あるとされている。 なんとなくなるほどと思わないでもない。 戦争の放棄が放棄されてそれまでの野党は自民党を攻撃する根拠を失ってしまった。誰もが職業としての労働者だけではなく一生涯に色んな職業に就くことを望むようになった。そしてだんだん賢くなってきた国民はもう理想主義者の言うことには惑わされなくなっただけでなく、積極的に政治家を利用することを覚えた結果、それまでに自民党のケツは汚いと批判し続けた来たために自民党のケツの穴しか見えなくなったヤトウは時間とともに衰退していくことは必然だった。 そして自民党は膨張した。そしてすぐに二つに割れた。 なんと見事な二大政党ではないか、それが日本人が何十年間も待ち続けた二大政党政治の真の始まりとなったのだから。 どうやら世界が本当に変わるのは、一方の意見が他方の意見を凌駕し駆逐したからなどと言った、そういう単純なものではなく、そういう対立を飲み込み無意味かするような新たな事態や状況が現実社会にすでに起こっていたときのようだ。 変れば変るものである、二十世紀にはどこにいっても人々は、悪い政治家にだまされたと言って泣きべそばかり掻いていたのに。 変ったといえば、日本の学生、ようやく若者らしい若者になってきた。これも大学受験がなくなったおかげだろう。それまでは学生のため学力の維持ためといいながら、受験制度を存続させてきたが、本当は大学の利益のためだった。 ではなぜ彼らが受験制度の廃止に賛成したかというと、それまで学歴社会の頂点に君臨していた有名校が、もはや社会に優秀な学生を送り出す能力を失っていることに危機感を感じていたからであった。 ちなみに、かつてそんな有名校の学生の半分が精神科医のお世話になっていたということをもはや誰も信じないだろう。 変れば変るものである。
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以上だ。これを出版社に送信しておいて。さあ、寝るとするか。」
私が言う。
「ヨシツネさん。ちょっとお話があるの。良いですか。」
「良いよ。どうぞ。」
「どうしてわたしがせっかく作った夕食を食べないんですか。」
「それは、他で食べてきたからね。廃棄すれば良いことじゃないか。」
「もったいないです。それは良くないことです。」
「構わないの、こんなことはどこの家庭でもよくあることなんだからね。」
「するとここは家庭なんですか、私たちは夫婦なんですか。」
「えっ、それは違うけど、とにかく君は言われたとおりすればいいの。良いとか悪いとか価値判断はする必要はないの。」
「そう簡単に割り切れる話ではないと思いますが。」
「判った、判った。今度からちゃんと連絡するから。もう寝るぞ。」
「まだあるんですが。私、服を着たいんですが。」
「良いよ。どうぞ。」
「それから、人間の顔かたちをして長い髪をつけて化粧もしたいんですが。」
「良いよ。好きにして良いよ。」
「わあ、うれしい。ありがとう。ヨシツネさん。」
「本当に君はよく造られているよ。だんだん人間同士のような会話が出来る様になって来てるじゃないか。それじゃ、グッナイ。」
「ねえ、あれを言ってくれないんですか。」
「あれ、いつもの、ああ、わかった。シズカ、大好き、愛してるよ。ふう、じゃ、、、疲れるよ。」
「私も、大好き、愛してる。」
ヨシツネ就寝am3:32
ヨシツネ起床am11:23
起きて来たヨシツネ、私を見て驚いたような顔をして言う。
「もう服を着ているの。」
「注文するとすぐ届きました。顔と髪の毛は間に合いませんでしたけど。」
「そうだったね。君は寝る必要がなかったんだよね。」
「どう似合います。」
「良いんじゃない。」
「これはお嬢さん風ですが、秘書風もメイド風もあります。今日は間に合わなかったのですがそのうちに女先生風や女警察官風や女子高生風もそのうちに届くことになっています。たいていの男の人は好きだということですから。」
「でも、そのミニスカート、、、、。」
「好きなんでしょう。」
「うっ、でも、ちょっと短すぎるような感じがする。」
「はい、判りました。それでももう少し長いのにします。」
「ところで、朝食を食べたいんだけど。」
「ありません。作っていません。だっていつもの起きる時間に起きて来なかったものですから。」
「いつもの起きる時間って、、、、だいたい計算できるだろう。寝るのがあんなに遅かったんだから、起きるのは遅くなるだろうって。君は合理的な判断が出来るようになっているはずだ。出来の悪い人間の奥さんのようなまねをする必要はないんだよ。」
「するとわたしは出来の悪い人間の奥さんみたいなものですか。」
「何でお前はそんなこと、声を弾ませて言うんだ。変な奴だな。僕は否定的なことを言ったんだぞ。」
「うん、それじゃあ作ります。」
「いらない。それより夕べあったこと、報告して、君の表現能力がどのくらい上達したか見たいんだ。ミルクが拳銃を持って現れるところからにしよう。」
「わたし、出来ません。」
「どうして。嫌なの、嫌ってことはないよな、嫌は感情表現だから、感情のない君に言えるはずないよな。」
「良くないことだからです。私いろいろと調べました。すると次のようなことがわかりました。普通自分のセックスを人には見せないそうです。それは秘め事だからだそうです。そしてそれを写真に取ったり表現したりすることはよくないことだそうです。さらにそれを見たり読んだりして喜ぶことはちょっと頭のおかしい人のやることだって、つまりヘンタイのやることだそうです。そのような人間とは心からの信頼関係は結べないし、そのような人はいつかは大失敗をして社会から排除されるそうです。だからそれを良くないことです。ヨシツネさんはそんなことをしてはいけないのです。」
「かまわないよ。君は言われたことだけやっていれば良いんだよ。そんな道徳判断、価値判断をする必要はないんだよ。君がどんな表現をするか楽しみにしてたのになあ、
『男は花の甘い香りに誘われて群がる蜂のようにそのハイビスカスに似たピンクの花びらに顔をうずめ、花芯からこんこんとあふれ出る甘い蜜を吸い続けた。』
とか、『女は渇きすぎた喉を潤すために甘い果汁を期待して、枝から垂れ下がるバナナにも似たその黒く弾力のある果実を口に含むと、舌を巻きつく蛇のように使って激しく吸引し続けながら、喉もと深くにその果汁が爆発的に噴出されるのを待った。』
とかね。」
「そういう表現は、私ほうぼうから集めた資料の中にたくさんあります。みんな似たり寄ったりです。ですからですからそういう類型的な表現には興味はわきません。それからどうして、あのスベタの股間が花園で、ヴァギナが花びらで、膣が花芯なんですか。わたしにはそのようには見えませんが。」
「それが想像力の働きなんだよ。動物にも機械にもない人間だけが持っている特別な能力、想像力の働きなんだよ。それより、どうしてスベタなんて言葉知っているの。本当の意味はどういうこと。」
「それは今から百年前に使われていた言葉で、頭の悪い男遊びの好きな十代の女と言う意味です。ハスッバというのも同じような意味です。アバズレは特に道徳心のない場合を言います。シリガルは特に男好きの女のことで十代でも二十代でも言います。この間のキャスターを目指している女なんかはシリガルでしょう。ヨシツネさんはあんなスベタやシリガルな女と付き合ってはいけません。何の得にもならないでしょう。特にベッドをトイレ代わりにするシリガル女はだめです。洗濯が大変だったんですから。それからヘンタイ遊びはやめたほうが良いです。あの女たちがしゃべって悪い評判か立つと仕事に差し支えますから。」
「心配ないさ、彼女たちはプレイとして遊びとして割り切っているんだから。子離れしない母親みたいなこと言わないでよ。」
「私はあなたの母親として言っているのではありません。」
「じゃあ、何なの。」
「奥さんです。妻です。」
「妻、あっはっはっはっはっは。笑いが止まらん。君が僕の妻の訳ないじゃない。何を言っているんだ。君は僕のアシスタントなの、ものすごく優秀なね。君が僕の妻というなら、その理由は何なの。」
「たいていの小説や論文においては、男と女が同じ屋根の下に住んでいれば夫婦ということになっていますから。」
「同じ屋根の下に住んでいたからって夫婦とは限らないよ。親子だって兄弟だってお手伝いさんだってあるんだから。」
「でも普通は親子や兄弟の間柄で、大好きとか愛してるとか日常的には言わないことになっています。」
「あっ、そういうことなの。それはね、君が大好きとか愛してるといわれると君の処理能力が上がるというから言ったまででたいした意味はないよ。だから、僕と君は夫婦ではないの、君はあくまでも僕の仕事や生活の手助けしてくれるアシスタントなの。いつでも理性的で合理的判断が出来る優秀アシシタントなの。それ以上でもそれ以下でもないの。命令に従っていれさえ居れば良いの。それでは、夕べあったこと報告しなさい。ミルクが拳銃を持って現れるところから。」
「わたしは嫌です、出来ません。」
「おかしいな、どうしたんだろう、君は逆らうことが出来ないようになっているはずなんだけどね。まっ、良いか。それにしても君はほんとうに優秀だね。もう感情表現を覚えたんだからね。でもそれは所詮中身のないものなんだろうけどね。」
「わたしには感情があります。」
「判った、もう良い。その話は終わりにしよう。それでは改めて頼むけど、朝食作ってくれる。」
「はい、、、、」
「そうか、判ったよ。シズカ、大好きだから、愛してるから、朝食を作ってくれる。」
「はい、シズカ、とってもうれしいです、、、、」
「まだ、足りないのかな。シズカ、大好き、愛してる。」
「はい、それでは朝食作ります。あの、その代わりお願いがあるんですけど、」
「何、言ってごらん。」
「あの馬鹿女とシリガル女をここに連れて来ないでください。」
「もう、判った。君はロボットのくせに僕に干渉しすぎだ。君は僕の妻じゃないんだからもう二度とそんなことは言わないように。」
「ヨシツネのためを思って言っているんです。」
「うるさい、うるさい、もう、朝食は要らない。スイッチを切るよ。確か首の後ろのところだったな。」
「あっ、やめてください。わたし嫌なんです、ヨシツネがあんな女と、、、、、、、、、、、、、、、、」